画像引用:amazon Q思考 シンプルな問いで本質をつかむ思考法
「良質な解(答え)を得るには良質な問いが必要」
本書では本質を得る為の良質な問いはどうしたら考えられるのかが書かれています。
最も印象に残ったのは教育の部分。
学校などの教育は問いを上手にできるように学ぶのではなく、あるべき解(答え)を学ぶ事が多い。
例えば、「○○リットルのタンクに水を入れた場合、何分でいっぱいになるか?」という問題があった場合、あまりに多くのヒントを与えすぎています。毎秒○○リットル水が出るものとするなど。道筋が決められ過ぎています。
タンクの水がいっぱいになるまでに何が必要か?という問いを考えるアプローチをほとんどしない。実際これは社会人になると、より問われる能力で、問題を解決する際にヒントなどありません。どうすればこの問題が解決できるのか?なぜ○○なのか?といった「問いの力」が必要になります。現代ではしかも、答えはテクノロジーが負担してくれます。誰もが知っているGoogleです。Googleの検索ボックスに入力すれば答えがすぐに得られます。
つまり、答えを得る前の問いのプロセスが良質な解を得られるきっかけになります。

「問い」が盛んなのは4歳児がピーク

これは子どもがいるとわかると思いますが、幼い子どもは、よく「なんで?」と聞きます。

問いの力を育てるのはこの「なんで?」

常にちょっとした事でも、習慣になってしまっているものでも問いを立てるこれこそが問いの力を鍛えるものだと本書では書かれています。
また、小学生、中学生、高校生となるうちにこの「なんで?」という問いを立てることが少なくなるということです。
知識が年齢と共に得られるからというのもあるのですが、教育のあり方が「答えを知る」ことがメインになり、問いを促す教育になっていない事も挙げられています。
もちろん教育現場でのカリキュラムのありかたなどもあると思いますが。考えさせられる内容でした。

美しい質問は「なぜ?」「もし○○だったら?」「どうすれば?」というアプローチから

常になぜ?そうなのか問いを立て、そのあと、もし○○だったら?というところでプロトタイプを作って試す。その後結果をみてどうすればよいか考える。これが美しい質問のアプローチの方法と記載されています。まさにデザイン思考と同じです。デザイン思考で有名なIDEOもこのアプローチを行っています。
イノベーションを起こすのはまさに、当たり前のことになぜ?と問う事だなと本書を読んで思いました。
本書ではイノベーションの事例も短くコラムで掲載されているのですが、ゲータレードの開発のプロセスが表示に面白かったです。
フットボールのコーチが「なぜ?選手たちはもっとトイレにいかないのだろう?」という問いがきっかけで汗で失われる電解質を補給できる飲み物を医学・生理学者に相談し開発されたというものでした。試しに新入生にこれを飲ませて上級生と試合をしたところ新入生が勝ったという事でした。

何を真ん中に据えるかで思考に大きな影響がある

本書では「東インド諸島がどうして西側にあるの?」と学校の先生が生徒から質問をされ、何を真ん中に据えるかで思考に大きな影響があると面白い事が書かれています。
確かに人間の考え方は今自分が持っているスキルや環境を中心に物事を考えがちで、この視点を持つ事が大事なんだろうと改めて思いました。

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