画像引用:amazon「深く、早く、考える。」
如何に早く問題の本質を捉えるか、その為の考え方がわかりやすく記載されている本です。
内容的にはUXデザインでも度々行う情報の構造化、上位下位関係分析に似たまとめかたをしたりする事が書かれています。
序盤は問題の本質を捉える前に「理解する」とはどういうことなのかから始まるのですが非常に頷ける内容が多く読んでいて「なるほど」という場面が多く面白い本です。
以下は個人的に気になったところを図と共にまとめてみました。
既知の情報が多くあると新しい事柄も理解しやすい
物事を理解するプロセスというのは、まだ理解していないものごとに対して、既知の情報が結びつく事で理解できるということ。
「気づき」を得るというのが最も理解する上では忘れずらく印象に残るものだと思うんですが、まさにその気づきというのはこういうことなのではと思いました。
これは理解するというプロセスですが、理解させたいという場合は「知ってもらいたい事」を「例え話」と一緒に説明することで理解を促す事ができるとする事ができると思います。
また、深い理解を得やすくする為には既知の情報をどれだけ多く持っているかによって浅い理解になるか深い理解になると本書では書かれています。
例えば、本書では歴史などを勉強する際、年号と、その時起きた出来事を覚えても、すぐに忘れてしまう。
けれども、その出来事がなぜ起きたのか背景や周辺の情報を知る事で記憶に定着し、深い理解になると記されています。
確かにこれは経験上納得いくのですが、いろんな情報を知っている方が、新しい事柄に対してあまり情報がない時よりも理解しやすいと思います。
人間は具体的な事象に捉われがちで、表面的な問題を解決しようとする
多くの要素からなる複雑な現象を観察すると、人の脳の関心はどうしても表面的な関係に集中してしまい、その背後にある本質的関係(因果関係や問題の構造)が見えなくなりやすいというもの。
本書では例題も掲載されていて、問題の表面的なところだけ見ていて、視野が狭くなり何が問題なのかというところに視点がいきづらくなる気づきが得られます。
また、問題の本質を見る為には起きた事象などを抽象化、構造化することにより問題を俯瞰する事ができ早く問題の本質へたどり着きやすくなるというのが本書の考え方です。
既知の情報が問題の本質への道を阻む
問題となっている事象への情報が多いと、すぐにその情報へと結びつける癖が人間にはあり、それが問題への本質への道を阻む。
ある意味経験と似たようなものかもしれません。
「この問題はこういう風に今まで解決してきたからこのやり方でできる」という感じでしょうか。本当はもっと良いやり方があるかもしれませんが既に、そういった既知の情報があると深く考えずに解決しようとしてしまいます。
これを防ぐのが「なぜ?」と自問すること。まず疑う事で表面的な問題の事象から本質へアプローチする為のきっかけになると本書では記載されています。
抽象化して良いビジネスモデルのヒントへ
本書ではアマゾンのビジネスモデルが抽象化されて説明されています。
アマゾンのビジネスモデルは好循環がステークホルダーへ回る仕組みが作られていて、どこかを改善すると、どこかが悪くなるというものでなく改善すると、その好循環が回る仕組みが作られています。
ビジネスモデルを作る際の勉強に非常に良いものでした。
「創造性の秘訣は、アイデアの源を隠す事だ」
アインシュタインが残した言葉みたいなのですが、「アイデアの源を隠す」というのは、なるべく対象となる分野とは遠く離れた分野からアイデアを借りてくることで、アイデアを借りてきた事自体を隠すこと。
どうするかというと問題の事象を抽象化し、他の分野と同じ抽象化されたカテゴリーの具体的な事象を参考にして改善するということ。
例えば「学ぶ」という抽象化されたものがあった場合、他の分野の「学ぶ」という所に着目しアイデアを借りるというもの。
割とイノベーションとはこういう視点でできるものではないかと個人的には思っています。
所感
本書は序盤では「理解する」こととは、どういうことなのか非常にわかりやすく書かれていて人に説明して何かを理解してもらいたい時のヒントになりました。
デザイナーだけでなく、全てのビジネスマンにとって有益な本になる本だと思います。
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