3月24日(金)より宮崎県内の交通施設に設置されている「旅たつ君へ」
この春、卒業を迎え宮崎を発つ学生向けに宮崎の著名な方々のメッセージが掲載されているグラフィックデザインです。
新しい生活を送る事に希望と期待も大いにある中で、初めて親元を離れ見知らぬ地で生活を送る不安や寂しさも大きいと思います。
そんな中で旅立つ場所でこのメッセージがあるのは心強い支えになるのではないかと思います。
対象でない自分自身も温かい気持ちと勇気付けられました。
メッセージが記載されている著名な方々は下記です。

  • amadana株式会社 熊本 浩志さん
  • 漫画家 東村 アキコさん
  • 柔道家 井上 康生さん
  • 日機装株式会社 甲斐 敏彦さん
  • テレビ朝日アナウンサー 松尾 由美子さん
  • 浦和レッドダイヤモンズ 興梠 慎三さん
  • イタリア料理 ラ フォンターナ アッヅッラ 中原 弘光さん

以下はデザインの考察です。

目を惹く原寸サイズ程の黒板風デザイン

このサイズ感になると黒板風のデザインでなくとも目立つのですが、黒板風のデザインにする事でターゲットとする学生の目を惹く事が高くなります。
黒板風のデザインにする事で著名な方からいただいた筆跡がうまく生かされています。
これがパソコンなどのフォントを使用していた場合、今のデザインより冷たい印象を与えるのは間違いないと思います。
人の感情や温もりを伝えるのに整いすぎた文字では伝わりません。メールの文章でわかるように感情はパソコンの文字では非常に伝わりづらいものです。
メッセージだけでなく桜や花を音符などのオブジェクトも手書きの様に違和感なく見せれているのは黒板だからこそであります。
また、この音符や星などのオブジェクトのイメージもかわいらしく、学生たちに違和感のないイメージのアイデアだと思います。

配置を不揃いにする事での演出とメリハリ

メッセージの配置を敢えて斜めにしたり不揃いにする事で人間味のある温かいクラフト感がデザインされています。
デザインの基本の一つである「揃える」事をやれば綺麗に見えるのですが、綺麗に整いすぎて人間味のある温もりのイメージから遠ざかります。
敢えて「揃える」事を崩しているのは前述にある温もりやメリハリをつける事につながります。
メリハリをつける一つのポイントとして周辺とは異なったものにすること、つまり今回の場合だと不揃いにする事でメリハリができています。
これが綺麗にメッセージが並んでいると冷たく、メリハリのないデザインになっていたと思います。

まとめ

デジタルなツールからアナログなものを作成すると当然相反するものなので作りづらくなります。
ですので恐らく、このデザインを作るのに割と制作時間がかかったのではと思います。
黒板というアナログなオブジェクトを上手に利用して「温もり」が全体的に統一されてデザインされていると思いました。
何より宮崎市がこの様なプロジェクトを実行した事が、とても嬉しく感じました。
民間が行う場合は広告っぽいものが必ず入り、何となくキレイゴトの様に見えてしまう事が多いのですが、それがない事が自分の心に響く要因の一つになったのではと思います。
何にしても、行政にしかできない切り口で素晴らしいプロジェクトだと思います。