読書ログ「新しい市場の作り方」

  • 画像引用:amazon新しい市場の作り方

    ひたすらに技術を追い求めてモノを開発して売る時代は終わり、現在の人の文化(コト)を観察し、それに応じたモノやサービスを作るにはどうしたらよいかといったヒントが得られる書籍です。
    ウォシュレットがどうやって生まれたのか、その価値観とは何かが序盤は多く記載されていますが、個人的にはハーレーダビッドソンのお店でのバイクの展示の仕方、ハーレーの価値、ハーレーを所有した時の社会的意味が面白く感じました。

    問題と思う意識の設定が大事

    本書で印象的だったフレーズで
    「問題そのものは発見の対象で、それを解決する手段こそが発明の対象と思ってしまっていることがままあります。
    いつかどこかの誰かがそれを問題として設定しなければ、いつまで経ってもその問題は世界のどこにも存在しないのですから。
    とあるんですが、ある意味、馬鹿げた事に問いを意識して立てる事も必要だと個人的には思っているのですが、例えば子どもがする遊びや行動というのは大人の視点で見ると、無駄な事をやっていると意識しないでいたりすることがありますが、実はそんな所に問題設定のヒントがあるのではと思います。
    如何に身近なことに注意深く観察できるか改めて自分自身も意識づけるきっかけになりました。

    設計情報転写論

    製造物は設計情報を媒体に転写してできているという理論で本書では例として「たい焼き」の製造を例に記載されていて、非常にわかりやすく書かれています。
    設計情報とは「概念設計」「機能設計」「構造設計」「工程設計」というものでデザインでも同じ事が言えると思います。

    概念設計
    コンセプトや目的
    機能設計
    コンセプトや目的を達成する為に必要な大まかな情報
    構造設計
    機能設計の大まかな情報を細分化した情報
    工程設計
    一連の情報を効率よく生産する為の情報

    時として、デザインプロセスでよくあるのは機能設計部分がなく、構造設計にいきなり飛んでいく事が多く見られます。
    この状態は機能設計の情報が抜け落ちているので概念設計の情報があってもデザイナーの主観にならざる得なくなります。
    それを避ける為には足りない情報を取得する調査が必要になります。
    「足りない情報」とは下記で言うと「予約を増やすためには誰に向けてどんな施策を行わないといけないか」といった情報になります。

    上記から言えるようにデザインはこの「概念設計」「機能設計」などをユーザーに伝える為のものになります。
    そのまま伝えるのでなく、ユーザーに伝わりやすい表現で伝える必要があります。

    価値観の変化

    商品やサービスに求められる価値観は最初は「機能」からはじまり、「意匠」「シンボル(ブランド)」へ変わる。

    これもモノが溢れてコモディティ化している現在によく当てはまりわかりやすい内容でした。
    例えば洋服であれば身を隠す機能であったり、冬であれば寒さをしのぐ機能であったり夏であれば、着ていて涼しい「機能」がまず求められます。そこで同じ様な機能が乱立してくると、差別化が難しくなり、今度は見た目の意匠で差別化を図り価値を作り出していきます。
    そして意匠での差別化が難しくなってくるとブランドで差別化を図っていきます。
    web制作も同じで、まず先立つものは「機能」です。
    webで、どんな機能を盛り込み、効率化を図るのか、売り上げを上げるのかそれを担うのはまずは機能です。
    web制作で先立つところに機能がないというのは、ほとんどの場合目的や戦略がない時です。勿論すべてではないですが、往々にしてあてはまります。

    成熟したモノやサービスは「それがあることによって何がどのように便利で、どのような問題が解決されるのか?」を問い直す

    個人的には成熟していなくても全てに言えることだと思いますが、モノやサービスは「どんな問題が解決されるのか」シンプルにこれが明確に実現できているか。
    意思決定の際に客観的に見れる問いの仕方になることは間違いないと思います。
    誰のどんな課題を解決する為にするのか。それはそもそも課題なのか?それをやる事によって本当に価値はあるのか。
    それを確かめるためにデザイン思考の小さい失敗を繰り返すという考え方もあると思います。
    小さい失敗というのはプロトタイプでを作るということ。
    机上の空論でなく実際に試しにやってみてどうか、試してみることに失敗はないので。

    まとめ

    人が求めているのはモノではなく、モノにのった設計情報に価値を感じ求めるもの。
    極端に言えば設計情報は価値があれば既存のモノの形のでなくても良いと思います。
    それがイノベーションと言われるものに近いのかと思います。
    本書の新しい市場とは人の価値にどれだけ気づき、その価値を最大化できるか。
    モノではなく価値の視点でのヒントが得られる一冊です。

    amazon新しい市場の作り方

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