デザインをする上で色やレイアウトなどの表現を考えるのはデザイナーの醍醐味であり、悩んで時間をとられる所でもあると思います。
悩んだ末に、やっとの思いで美しく出来上がったデザイン。
見た目は美しいけれども、何を訴えたいのか印象に残らないデザインに出会った事は誰もがあると思います。
見た目が美しいけれども印象に残らないのは伝えたい事が明確になっていないからです。
デザインをしている際に手が止まる要因もこの伝えたい事が明確になっていない事が多いにあります。
デザインはなぜ伝えたい事を明確にしないといけないのか?
前述でもあるように、一つは美しいだけでは何も感じ取れないからなのですが、実際に綺麗な写真や絵、広告を見ても記憶に残っていない事はあると思います。
もう一つは伝えたい事が伝わって人は行動するからです。
デザインは目的があって最終的には人に行動してもらう事がデザインの役目です。
人が行動するのは共感したり、求めていた情報が伝わった時に行動します。
伝えたい事を明確にするには?
目的やターゲット、強み、そしてそのサービスやモノを通じて得られる、ちょっと先の未来を考える。
そうする事で伝えたい事が作りやすくなります。
ちょっと先の未来というのは、人はモノやサービスが欲しくて買うのではなく、その先にあるモノやサービスから得られる体験を欲します。
マーケティングで有名なレビット博士の名言「ドリルを買おうとしている人は、ドリルが欲しいのではなく、穴を開けたいのだ」と似ていますが、そのちょっと先の未来を考える事で伝えたい事が伝えやすくなります。
簡単に見えますが、実はここがとても難しい。
ターゲットにしてもターゲットとなる人を深く理解していないと伝えたい事というのは、そんなに簡単にはできません。
デザインだけでなく伝える事を明確にするのは他のお仕事でも共通する事が多い
撮影のディレクションをする時にも感じるのですが、伝えたい事が明確になっていないとカメラマンの方に具体的な指示ができないはずです。
これは恐らくカメラマンの方も同じで、撮影する際にどういう風に撮れば良いのか考えて撮影しているはずです。
伝える事が明確でなければ撮影した写真を見る人は何かを感じる事は少ないはずです。同時にパッとしない写真になるかと思います。
ホームページデザインもグラフィックデザインも何かの記事を書くときも共通していると思います。
見た目を作る素材が揃えられている時の危険
ホームページのデザインやグラフィックデザインなどの場合、初めからデザインに必要な写真素材が揃っている事が多くあります。
そうするとデザイナーは与えられた素材で、見た目を整え綺麗に作りだします。
どこに何を配置して、色は○○でといった具合に。
これが説得力の弱いデザインを作り出す手順になるわけですが、気づかぬうちにこれはやってきます。
デザイナーが在籍している多くの会社がそうであるように、デザインを作ることだけと認識していると、こういった事に気づきません。
デザイナーが在籍している企業にとっては作るだけで終わった方が早くデザインが作れ生産性が上がり短期的な売上には貢献するかもしれませんが、デザインを依頼したお客様からした場合この事実を知れば、あまり次は依頼したくはないでしょう。
ただ現実はデザインを依頼するお客様もこの事実を知らない事が多く、デザインは綺麗に作る事と認識され指摘される事はほとんどないと思いますが、後々息の長いデザインと短いデザインとなって結果を出します。