パッと見、いや、よく見ても何の飲み物なのか、わかりづらい外観。
しかし、見た目のデザインだけでなくコンセプトからチャネルまでしっかりと戦略までデザインされた商品です。
画像引用:http://www.kirin.co.jp/products/softdrink/moogy/
生姜とハーブの麦茶 KIRIN moogy(ムーギー)
ボトルの中身は焙煎大麦、生姜、カモミール、レモングラスの麦茶。ボトルの見た目や材料からしても女性をターゲットに振り切っているのがよくわかります。
麦茶といえば、これまで発売されているものを見ても男性よりでもなく女性よりでもないデザインが多く、女性が麦茶の商品を持っているイメージすら少ないです。
本来の目的以外の付加価値のデザインが新しい
飲み物を購入する目的は何か?
”喉を潤すこと”ですが喉を潤す価値以外にも、この手の大きさの飲み物は持ち歩きする事が多く、デスクワークの多い人の場合机の上に長時間置かれたりします。
いわば身につけたり、飾るという事に近しい行為が行なわれているわけです。
そこに目を付けてデザインされたと思うのですが、アクセサリーの様に持って歩けて、雑貨の様にかわいく置ける。
本来の”喉を潤す”目的以外に”持っていてかわいい”、”置いていてかわいい”という付加価値が上手く作られています。
チャネルを考えた上でのデザイン
普通にコンビニやスーパーなどの店頭に並べられる事を考えると、このボトルデザインだけでは何の飲み物なのかわかりません。
透明でもないので中身も見えず予測がつかないと思います。
しかしながら、最初からこの商品、まずはインターネットの先行販売となっているので中身が何なのかパッケージの見た目に反映しなくてもすみます。インターネットで説明があった上でのデザインとなります。
だからこそ大胆に何の飲み物なのかという所を省く事ができています。
一貫してユーザー体験(UX)が優れたデザイン
購入する前(予期的UX)のワクワクする期待を膨らませる体験や、喉を潤している時(一時的UX)にアクセサリー感覚で楽しくいられる体験、飲んだ後(エピソード的UX)かわいい雑貨として置ける楽しみなどボトルの見た目だけでなく利用シーンがよくデザインされています。
あとは喉を潤している時の味がどうか。
この味が美味しいものでないと一時的UXの部分が悪い体験になり見た目はいいんだけど味がといった事になりリピートされにくくなります。
モノは実際は使用している時より使用していない時の方が多い
世界が尊敬する日本人100人の一人、デザインオフィスnendoの佐藤オオキさんもこの様に考えているのですが、それを上手く取り込んでいると実感するデザイン。
例えば傘やテレビもそうなんですが、傘を差している時よりも置いている時間の方が長く、テレビも見ている時間より見ていない時間の方が多いものです。
つまり、その時間の”時”を、どうデザインするかが鍵になります。
このmoogy(ムーギー)は喉を潤す以外の持ち歩くや机に置いている、雑貨として利用するなど非常にその”モノ”を使用していない時間のデザインがされていると思ったデザインでした。