競合他社などと同じ事をやっても二番煎じ、差別化できない。
どうしたら他社と異なり且つニーズがあるサービスができるのかとデザインについても似たような悩みを抱えてるデザイナーの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
戦略論の歴史
これまでの戦略論(USPからポジショニングへ変わっていった)の経緯を見ていても差別化できないのが当然の様に思います。
モノが少なかった時代はモノの独自機能を売れば売れる。
その後、模倣品が増え独自機能というだけではモノが売れなくなりました。
そして自社ブランドの長所や短所だけでなく、競合ブランドの長所や短所も計算にいれて、お客様目線にたったポジショニングといった考え方がでてきました。
ポジショニングは明確に空いているポジションがなければ差別化が難しくなってきます。
そこで最近ではモノやサービスでも利用するお客様の体験を良くすることで、ブランドを築きお客様に選んでいただこうというUX(ユーザーエクスペリエンス)の考え方に発展したのではないかと思っています。
例えば茶碗を購入する時の価値は何でしょうか?モノ(機能)として見た場合はお茶を注いで飲む事になりますが、これだけでは、どの茶碗を選んでも良くなりますよね。
でも実際は意識していない方もいらっしゃるかもしれませんが、料理と一緒に添えられた時、お菓子と一緒に添えられた時、棚に茶碗を置いた時にできる見た目の空間に満足するという「モノ」ではなく体験価値で選んでいる事が多いと思います。
webの歴史
webも似たような歴史を辿っているのではと思っています。
黎明期はweb(ホームページ)が作れる。「作る事」に価値がありました。つまりホームページという「モノ」を売るに近いかと思います。
その後CSSやFlashなどの技術が登場し表現による差別化が行う事ができるようになりました。
昨今ではweb(ホームページ)制作も容易になってきていて、詳しい知識がなくても作れたりします。そして表現はシンプルなデザインのものが主流になり、お客様の体験(ユーザーエクスペリエンス)に「沿った」webやサービスが求められています。
この「沿った」というのが大事で利用シーンを明確にする事が求められます。
webの場合は、そのほとんどが「情報を提供する事」が多いと思います。目的の何かがありそれに添えられる情報がwebである事。
上の茶碗の体験価値の例で言うと、webで価値茶碗を売る場合、茶碗そのものの機能(スペック)を大きく見せるのではなく、料理と一緒に添えられた時、お菓子と一緒に添えられた時のイメージがつきやすい写真があると茶碗を買った時に得られる体験価値が想像しやすくなりますよね。
そしてそのwebを見るシーンはどんな時なのか、それによって情報の提供の仕方、デザインが変わっていくわけです。
下記は茶碗ではなく飯椀ですが。北欧暮らしの道具店さんは全商品利用シーンの写真があってイメージがしやすく、必ず人の手が商品写真に写っていることで大きさが瞬時に伝わります。
画像引用:北欧暮らしの道具展 九谷焼/日下華子/つばめ/飯椀
モノからコトへの価値へ
これまで「モノ」や「web」そのものが価値があったのですが、今ではサービスが先、その上で付随するものが「モノ」であり「web」という順番になっています。
極端に言えばサービスの内容によってはモノやwebが必要ない場合もあるでしょう。
例えばweb制作屋さんであれば当然、web制作をしないとお金にならないのですがwebを作ることが中心でなく、お客様にとってwebを作る事が本当に価値があるのかサービスを考えてコンサルティングする。
そうした見方や道標を作れるスキルが今後ますます必要になると思います。
デザインもまた「こういうモノだからこんなデザインが必要」から
こういう良いユーザー体験をさせるには、こういうサービスが必要でこんなデザインが必要だよね。
という考え方へ多くが変わっていくでしょう。