画像引用:amazon 社長、そのデザインでは売れません!
デザインについて、そうそうたる方達がインタビュー形式で掲載されている本です。経営者やクリエイターの視点でデザインをどう捉え経営に活用されているのか下記の方々のインタビューが掲載されています。
- CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)の増田宗昭 社長
- SAMURAI 佐藤可士和さん
- SWdesign 和田智さん
- 伊藤忠商事 岡藤正広 社長
- 三越伊勢丹ホールディングス 大西洋 社長
- アメリカのMITメディアラボ 副所長 石井裕さん
以下は自分が本書を読んでまとめたものです。気になったところ印象に残ったところを図でまとめました。
CCC 増田宗昭社長のデザインの捉え方
この本の中で自分が最も共感したデザインの捉え方をしている方で、デザインを「モノ」という視点ではなく本質的な価値として考えて、そこに投資をしていらっしゃいます。
ですので、その価値やコンセプトを可視化することをデザインとして捉えています。まとめると増田社長のデザインの捉え方は以下の様な図になると解釈しました。
増田社長の章では代官山TSUTAYAの設計など触れられていて、設計には全く口を出さなかった事やその理由が触れられています。
その理由の所にでてくる「クリエイティビティーって、結局「モノ」ではなくて「価値」をつくるってことだと思うんだよね。建築でいうとさ、床があって、壁があって、天井があるじゃない。でもそれぞれはモノでしかなくて、価値じゃないのね。」というところが最も印象的で、デザインをこの箇所が全て語っているのではないかと思います。
単純に作るだけではダメ。お客様の価値を知ってそれを可視化するそれが増田社長が考えるデザインの捉え方なのだろうと思いました。
SAMURAI 佐藤可士和さん
佐藤可士和さんといえば、ユニクロやセブンイレブンのPBやHONDA NBOX、ヤンマーなど数々のブランディングで有名です。
本書でも佐藤可士和さんのブランドの考え方が主に掲載されていて、その整理整頓のこだわりが伺えます。
佐藤可士和さんのブランディングの考え方は非常にシンプルで私なりにまとめると以下の3つに整理されます。
デザインは消費者が最初にその企業と出会う接点
本書を読んでの佐藤可士和さんのデザインの考え方は下記のように解釈しました。
ユーザーにとって理論は関係なく、モノが溢れてコモディティ化される中ではこの「感覚」を知り視覚化する事が今後より重要視されると思います。
伊藤忠商事 岡藤正広 社長
伊藤忠商事の岡藤社長のインタビューを読んで印象的だったのは徹底した「現場主義」
「パソコンだけの情報収集は机上の空論」というくらい時間さえあれば現場に足を運んでお客さんのニーズを探る。
そこから付加価値を見つけビジネスにする。ブランドというと煌びやかなイメージがありますが実際は泥臭いものだと思います。デザインも同じで泥臭い事の積み重ね。
基本を忘れては良いものはできない。改めて思い知らされる章でした。
アメリカのMITメディアラボ 副所長 石井裕さん
MITメディアラボ 石井さんの章で印象的だったのが「問い」の重要さ。書籍「Q思考」でも答えよりも「良い問い」を立てる事の大事さが書かれていたのですが、この章では素晴らしいアイデアとゴミのアイデアかを問う問い方に触れられています。
クリエイティブなものは誰にも理解ができない。つまり賛同者がアイデアを作った時点ではいないので、そのアイデア良いのか悪いのか判断がつきづらい。appleのiPhoneも当初は売れないとアイデアを出した時は、そうだったみたいですが。その素晴らしいアイデアとゴミのアイデアかを問う見極め方が図で表すと下記の様になると解釈しました。
本書での石井さんのデザインの捉え方は下記の様に解釈しました。
行き着くところはアートもデザインも同じ。これは人間の感覚的な所に最終的に依存するのかと思います。だとすると、日常的に感じる情緒などを意識する事が大事で、その時どう思ったのか、無意識に行っている所も人によっては無意識でない事もあります。その無意識に如何に気づけるようになるかが大事なのだと思いました。
所感
どの章でも共通してでてきていたのが「価値」
価値は引き出すのが難しく見つけづらい。
だからこそ、そこに大きなチャンスがあるんだろうなと思いました。
そして、その価値をしっかりと理解して具現化できるデザイナーが今後更に必要になるのだと感じました。
デザインをマネジメントできる組織がコモディティ化されるなかで活躍を見出すと思います。