精一杯ビジュアルデザインを作成し、満を持してクライアントに提出すると、思いもよらぬデザインの修正が返ってきたというデザイナーは少なくないと思います。
そのデザインのズレは「課題」の深堀ができているかでズレが大きくもなり小さくもなります。
クライアントとデザイナーのデザインのズレをどうやって少なくできるか考察をまとめました。
何が課題なのか聞くのではなく見つける
クライアントによっては仰ってる課題が本当に課題という時もありますが、時には課題ではなかったり、課題を伝える際に解釈が入ったり、言葉の表現そのものにズレがあったりする場合があります。
このズレが後のデザインのズレを大きくする要因になると思っています。
なぜなら、「かっこいい」「かわいい」という言葉だけでも表現の幅はかなり大きく、このままではズレがかなり大きくなります。
課題解決にしても、「これまでどんな状況であって、何の為にやるのか」という事を理解していないとここでも表現にズレが生じてきます。
大きく言うとコミュニケーション不足といえば、まとまってしまうのですが、ほぼほぼ原因はデザイナーとクライアントのコミュニケーションにあります。
デザイナーは、そのコミュニケーションをどのようにとればよいのか下記のように考察しました。
1.事実を伺う
「何が課題ですか?」と聞くのではなく事実を見たり聞いたりする事で課題の本質を捉えやすくなります。
「何が課題ですか?」と聞いてしまうと主観やその人が解釈した答えが返ってくることが多くなります。
事実というのは主観のない情報であり、数字のデータなどです。
仮説思考の書籍にもありますが、お医者さんの様に現在のクライアントの状態を伺うのが大事で、伺う際は解釈(主観)を踏まえた答えが返ってこないように、問いに工夫が必要です。
事実を伺い、それを基に課題を見つけていくことが課題の本質を見つけクライアントと共通の課題認識を得る事でデザインのズレが少なくなります。
2.どの課題を解決することが実行しやすく経営にインパクトが与えられるか
課題の共通認識が得られたら、どの課題をどんな風に解決できるか解決方法を探します。
そして、どの解決方法が経営に最もインパクトが与えられるかといった視点で優先度をつけます。
優先度をつけるのはデザインを行う上で何を最もしないといけないことなのかデザイナーとクライアントの視点を同じにする為です。
視点を同じにすることでデザインのレビューを行う際、異なった視点で見る事がすくなくなります。
こうする事で「デザインで解決できる事」「デザインでやらなければいけない事」の骨子ができます。
クライアントとデザイナーの向かうべき道筋ができます。
3.デザインの指標(ゴール)を決める
課題解決方法の優先度が決まれば、何がどうなることがデザインが課題解決に貢献した指標になるのか決めます。
このデザインの指標が多くの場合決めずにプロジェクトがスタートする場合がほとんどです。
クライアントとデザイナー両者にとって、この指標がデザインが成功したのかしていないのか重要な指標になります。
指標もまたデザインのズレを防ぐ為の大事なポイントになります。
なぜなら、何がゴールか決まる事でデザインでやるべき事、つまりクライアントとデザイナー両者に意思決定の共通の材料が揃うからです。
4.指標を達成する為のデザインの方向性を決める
指標を達成する為に、どんな見た目にすると良いかイメージのズレがないかクライアントとデザイナー双方で実際のモノやwebで参考になりそうなデザインを基にすり合わせを行います。
何が良くて何が悪いのか、これまでの指標やポジショニングなどを考慮しデザインの方向性を決めます。
全てが曖昧だとデザインのズレも大きくなる
これまで挙げた課題の捉え方や解決方法、指標、どれも当たり前に確認していそうなものですが、自分の中でわかったつもりになって深堀をしない事でもデザインのズレは大きくなります。
課題解決の方法や指標、イメージなどデザインを作成する前にそれぞれをドキュメント化し一度、確認も含め同意を得て進められるとデザインのズレが少なく抑えられると思います。
デザインの前にこれらの内容をどれだけ細かく詰めれるかがクライアントとデザイナーのデザインのズレの大きさに比例します。
クライアントとデザイナーのデザインのズレはプロジェクトの課題と目的、解決方法をしっかりと共有していないと、そのズレはプロジェクトの後半になるほど大きくなっていきます。
それを防ぐためにも、作るよりもまずクライアントとデザイナーのコミュニケーションに十分な時間を割くことが重要です。